Vol 2. Andy Warhol
名前はよく知っているのに、中身を全然知らないことって実はよくある。アンディ・ウォーホルやキース・ヘリングは私にとってのまさにそれ。
キース・ヘリングについては最近の取材で調べる機会があったので、ようやく少し知ることができた。彼のスタジオはNYのダウンタウンに当時のまま残っていて、そこでキースの親友&ビジネスパートナーだった二人に話を聞いた。彼のクリエイションが、実はSupremeなどのストリートブランドの在り方にまで繋がっているということがとても興味深かった。ぜひご一読を。
https://www.uniqlo.com/jp/ja/contents/feature/ut-magazine/s122/
そして先週公開されたばかりのNetflixの「アンディ・ウォーホル ダイアリーズ」も衝撃的なくらい面白かった。ウォーホルの痛みがとてもよく描かれている。幼少期からの自身のルックスへのコンプレックスから始まり、セクシャリティに対する噂、アート活動の浮き沈み、エイズの蔓延、そして恋。とにかく悩みが尽きない。
このシリーズは彼の日記を元に制作されていて、全編をリードするのはAIで作れられたウォーホルの声だ。その声のささやかな揺らぎが、生きた人間の感情の震えのようでもあり、機械っぽくもあり、絶妙だ。
60−80年代当時のアートシーンがとてもわかりやすく描かれているし、バスキアが登場してくるシーンのあたりからは、黒人への人種差別問題、同性愛への強い社会的偏見、エイズの恐怖などが取り上げられていて、それは今のBLMやアジアンヘイト、LGBTQ+の権利問題、そしてコロナとすっかり重なる。当時を実感を持って観ることができたし、キースと同じく、ウォーホルも存命中に”有名人としての名声”は得ていたけれど、アート界での評価は十分に得られず苦悩していたことを知った。
ブルックリンミュージアムでは今ちょうどウォーホルのカトリックに焦点を当てた作品たちの展示が行われている。このシリーズを観た後に行くと、より楽しめる。特に彼がバチカンにローマ法王を訪れていたなんて、全然知らなかった。